トップページ > 設立趣意書・定款

財団法人 金原一郎記念医学医療振興財団 設立趣意書

1.基礎医学の重要性

 人間の健康作りを進める上では,基本的な体の仕組みや外的要因に対する体内の変化及びその過程を十分理解する事が必要であり,これなくしては医学・医療の研究というものは成り立ち得ない。病気の診断や治療には生命の根源である人間の構造や生理に対する十分な知識がなければ的確な判断は出来ないし,また同時に,人間を含む生命体に対する病原菌,その他の微生物の働きや,体内の変化の基本となる生化学や免疫の研究も不可欠である。病気そのものの病理学としての研究や,治療に必要な薬物の基礎的研究も全ての医学研究の基盤である。こういった解剖学・生理学・生化学・免疫学・微生物学・病理学・薬理学等を総称して基礎医学と呼んでいるが,この基礎医学な内科学・外科学といった実際の病気を診断,治療する臨床医学を実践するに先んじて研究理解することが重要である。

2.基礎医学医療研究助成の重要性

 わが国もいよいよ高齢者社会を迎え,基礎医学においても臨床医学においても医師および周辺技術者の育成が急務となり,特に「医」をめぐる人間の量から質への転換が課題となりつつある。全ての医学の分野におおいて新時代に即応し,これからの国際的な医学領域に対応する人間の育成は重要であり,かつ公共性が高いものであるが,とりわけ基礎医学は臨床医学を築きあげるうえで重要な基盤であることから考えて,その必要性は更に高まりつつある。ところが残念ながらこの基礎的な医学医療に関する分野における研究(以下「基礎医学医療研究」という)というものは,今日迄その重要性は認識されながらも資金的,人材的にその手当を十分に受けておらず,各施設における基礎医学系研究室及び基礎医学研究者各々のレベルにおいてもその研究に必要な資金は決して十分ではない。しかも,これからは国際的にその活動範囲を広める必要のあるこれらの分野においては,研究を進める上で是非とも必要な資材・器材の購入,人材の確保,研究会・学会・セミナー等への出席は万全を期しがたい現状にある。

3.金原一郎記念医学医療振興財団の趣旨

 (株)医学書院の創立者である故金原一郎はかねてよりこの基礎医学医療研究の重要性を十分認識し,かつ臨床医学系と異なる基礎医学系の資金の不十分さを補填すべく補助・助成を行いたいと考えていた。これからの新時代における医学・医療の更なる発展を期する為には,基礎医学医療研究への資金援助とその人材育成が最も重要であると考え,故金原一郎の遺志を継ぎ,またその個人資産の提供を受けた財団法人を設立し,上記の目的に添った下記の事業を行う。併せて学術の振興を計り,もって保健医療の向上に資することをも目的として広く世間にそのニーズを広めたい。

  1. 基礎医学医療に関する分野の研究に対する助成
  2. 基礎医学医療に関する分野の研究を行う学会,研究会及びわが国の研究者の海外派遣に対する助成
  3. 基礎医学医療に関する分野の研究を行う外国人留学生に対する助成
  4. 基礎医学医療に関する分野の研究成果の出版に対する助成
  5. その他財団の目的を達成する為に必要な事業

以上,この財団を設立する趣意である。

財団法人 金原一郎記念医学医療振興財団
発起人代表者 内薗 耕二

財団法人 金原一郎記念医学医療振興財団 寄附行為

  • 定款 (PDFファイル,270KB)